クリアランス

ルール カテゴリ: 電気的

ルールの分類: バイナリ

概要

このルールは、同一銅レイヤ上の任意の 2 つのプリミティブ オブジェクト間で許容される最小クリアランスを定義します。専用の最小クリアランス マトリックス(Minimum Clearance Matrix)を使用して、クリアランスの単一の値を指定することも、オブジェクト ペアごとに異なるクリアランスを指定することもできます。後者とルールのスコープ設定を組み合わせることで実現される柔軟性により、対象を絞った簡潔な一連のクリアランス ルールを作成して、非常に厳しいクリアランス ニーズにも対応できます。

制約条件

クリアランス ルールのデフォルト制約条件。

  • 接続チェック(Connective Checking)– 設計内のネットに関するルールの範囲。次のいずれかに設定できます。
    • Different Nets Only – 制約条件は、異なるネットに属する任意の 2 つのプリミティブ オブジェクト間に適用されます(例: 2 つの異なるネット上の 2 つのトラック)。
    • Same Net Only – 制約条件は、同じネットに属する任意の 2 つのプリミティブ オブジェクト間に適用されます(例: 同じネット上のビアとパッドの間、または差動ペアの同じトラック内)。
    • Any Net – 制約条件は、デザイン内の任意のネットに属する任意の 2 つのプリミティブ オブジェクト間に適用されます。これは、3 つのオプションのうち最も包括的なものになり、オブジェクトが同じネットまたは異なるネットに属する可能性に対処します。
    • 異なる差動ペア(Different Differential Pair) - 制約条件は、異なる差動ペアの異なるネットに属する任意の 2 つのプリミティブ オブジェクト間に適用されます(例: TX_P 内のトラックと RX_P 内のトラック)。
    • 同じ差動ペア(Same Differential Pair) - 制約条件は、同じ差動ペアの異なるネットに属する任意の 2 つのプリミティブ オブジェクト間に適用されます(例: TX_P 内のトラックと TX_N 内のトラック)。
  • 最小クリアランス(Minimum Clearance) – 必要な最小クリアランスの値。ここで入力された値は、最小クリアランス マトリックス内のすべてのセルにコピーされます。逆に、マトリックス内の 1 つまたは複数のオブジェクト ペアについて異なるクリアランス値が入力された場合は、最小クリアランス(Minimum Clearance)の制約条件はなし(N/A)に変化します。これは、基板全体に同一クリアランス値が適用されていないことを反映しています。
  • 最小クリアランス マトリックス(Minimum Clearance Matrix) – このオプションを使用すると、設計内のさまざまなオブジェクト間のクリアランスの組み合わせの間のクリアランスを微調整できます。
新しい PCB ドキュメント用のデフォルト クリアランス ルールでは、すべてのオブジェクト間のクリアランスの組み合わせについて 10mil という値がデフォルトで使用されます。後続の新しいクリアランス ルールを作成するときには、最も低い優先度のクリアランス ルールについて現在定義されている値がマトリックスに入力されます。

クリアランス マトリックスの使用

マトリックス内のクリアランス値の定義は、次の方法で実行できます。

  • 単一セルの編集 - 単一のオブジェクト ペアの最小クリアランスを変更します。編集対象のセルをクリックして選択します。
  • 複数セルの編集 - 複数のオブジェクト ペアの最小クリアランスを変更します。
    • Ctrl + クリック、Shift + クリック、およびクリック & ドラッグ操作によって 1 つの列の複数のセルを選択できます。
    • Shift + クリック、およびクリック & ドラッグ操作によって同一行の複数の連続するセルを選択できます。
    • クリック & ドラッグ操作によって、複数の行と列にまたがる複数の連続するセルを選択できます。
    • 行ヘッダーをクリックすると、その行のすべてのセルをすばやく選択できます。
    • 列ヘッダーをクリックすると、その列のすべてのセルをすばやく選択できます。
すべての考えられるオブジェクト ペアに対して同一クリアランス値を設定するには、その値を最小クリアランス(Minimum Clearance)制約条件で設定します。Enter を押すと、この値がマトリックスのすべての該当セルにコピーされます。別の方法として、マトリックスの左上にある空白のグレーのセルをクリックするか、Ctrl+A というショートカットを使用することもできます。これにより、マトリックスのすべてのセルが選択されて、新しく値を入力できる状態になります。

必要なセル(単一のセルまたは複数のセル)を選択し、必要な新しい値を入力することで、現在の値に変更を加えます。新しく入力した値を送信するには、別のセルをクリックするか、Enter キーを押します。すべての選択済みセルは、この新しい値で更新されます。

複数セルの編集例を示します。現在は 1 つまたは複数のオブジェクト ペアについて複数の異なるクリアランス値が存在するため、最小クリアランス(Minimum Clearance)の制約条件がなし(N/A)に変化していることに注目してください。これは、単一のクリアランス値が、すべてのオブジェクト間のクリアランスの組み合わせに適用されなくなったことを反映しています。

重複するルールの競合を解決する方法

すべてのルールが優先順位設定によって解決されます。ルールは優先順位が最も高いものから最も低いものへと順に評価され、チェック対象のオブジェクトとスコープ式が最初に一致したものが選択されます。

ルールの適用

オンライン DRC、バッチ DRC、インターラクティブ配線、自動配線、およびポリゴン配置中。

注釈

  1. ルールの制約条件を定義するとき、通常、接続チェック(Connective Checking)オプションは、異なるネットのみ(Different Nets Only)に設定します。同じネットのみ(Same Net Only)または任意のネット(Any Net)というオプション値は、たとえば、同じネット上または他の任意のネット上の、パッドや他のビアとの位置関係が近すぎるビアがあるかどうかをテストする場合に使用します。
  2. 最小クリアランス マトリックスは、指定された接続チェック方法(異なるネットのみ(Different Nets Only)同じネットのみ(Same Net Only)任意のネット(Any Net))に関係なく適用されます。同じネット上のオブジェクト間で異なるクリアランスが必要となった場合、異なるネット上のオブジェクトに対して定義されたクリアランスについても、必ず個別のクリアランス ルールを定義してください。
  3. クリアランス マトリックスの適用可能な使用法は、ルールのスコープ設定によって異なります。たとえば、ALL-ALL というスコープ設定の場合は、マトリックス内のすべてのセルを適用できます(つまり、すべての考えられるオブジェクト ペア)。ただし、スコープ設定が IsVia-IsTrack に設定されていた場合は、ビア-トラック(Via-Track)というオブジェクト ペアの単一セルのみが適用可能になり、マトリックス内の他のすべてのセルは使用されないままになります。
  4. ポリゴンのクリアランス ルールを定義する場合、ルールが実際に適用されるのは、そのポリゴン自体ではなく、そのポリゴンのプリミティブです。この場合は、IsPolygon(またはIsPoly)の代わりに、InPolygon(またはInPoly)というキーワード エントリをフル クエリに含める必要があります。特定のポリゴン クリアランス ルールに効力を持たせるためには、そのクリアランス ルール対して、一般的なクリアランス ルールよりも高い優先度を設定することも必要になります。

 

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