差動ペア配線

概要

このコマンドを使用して、差動ペア トラック オブジェクトをカレント ドキュメントに配置します。手動ですばやく配線する場合に便利です。差動ペア配線は、プリント基板全体で差動(等価で反転した)シグナルを伝送できるバランス伝送システムを作成するために使用されるデザイン手法です。通常、この差動配線は、コネクタやケーブルなど、外部の差動伝送システムとインターフェイスします。

差動シグナル伝送システムでは、緊密に結合されたキャリアのペアによって信号が伝送されます。このうちの一方はシグナルを伝送し、他方は、等価であるが反転したイメージの信号を伝送します。差動シグナル伝送は、シグナル ソースのロジック参照グランドを荷重のロジック参照グランドに適切に接続できない状況に対応するために開発されました。差動シグナル伝送は元来、電子製品に存在する最も一般的な干渉アーティファクトである、コモン モードの電気ノイズの影響を受けません。差動シグナル伝送のもう 1 つの大きい利点は、シグナル ペアから生成される電磁干渉(EMI)を最小化するということです。

まず、回路図デザインで(差動ペア ディレクティブを配置することにより)差動ペアを定義するか、(Differential Pair Editor モードで構成された)PCB パネルを使用して手動で差動ペアを定義する必要があります。このコマンドを使用する前に、適用されるルールを定義しておくことも必要になります。これらは、配線幅ルール、差動ペア配線ルール、および電子クリアランス ルールです。

アクセス

このコマンドには、PCB エディタから次の方法でアクセスできます。

  • メイン メニューからホーム(Home) » ルーティング(Routing) » 配線(Route) » 差動ペア配線(Differential Pair Routing)コマンドを選択します。
  • ワークスペース内で右クリックし、コンテキスト メニューからインターラクティブ差動ペア配線(Interactive Differential Pair Routing)コマンドを選択します。

使用方法

差動ペアは、ペアとして配線されます。つまり、2 つのネットを同時に配線します。コマンドを起動すると、ペアの一方のネットを選択するよう求められます。どちらかをクリックして配線を開始します。ペアのプラスのトレースとマイナスのトレースのどちらを選択するかは問題ではありません。他方も自動的に選択されます。

差動ペアの配線中に、障害物の回りを歩く(Walk Around Obstacle)障害物を押し込む(Push Obstacles)障害物をハグして押し込む(Hug and Push Obstacles)障害物を無視(Ignore Obstacles)最初の障害物で停止(Stop at First Obstacle)など、標準の矛盾解決モードを使用できます。Shift + R キーを使用して、モードを順番に切り替えることができます。

差動ペア配線モードで使用可能なコマンドについて用意されているすべてのショートカットを表示するには、Shift + F1 キーを押します。

配置モード

トラック セグメントを配置する際には、使用可能なコーナー モードが 4 つあり、そのうちのすべてのモードにコーナー方向サブモードもあります。配置時には、次の操作を実行できます。

  • Shift + スペースバーを押して、次の使用可能なコーナー モードを順番に切り替えます。45 °、アーク付きの 45°、 90°、アーク付きの 90°。
  • スペースバーを押して、2 つのコーナー方向サブモードを切り替えます。
  • いずれかのアーク コーナー モードで、http://www.altium.com/documentation/sites/default/files/wiki_attachments/275411/ArcSmallerButton2.png キーまたは http://www.altium.com/documentation/sites/default/files/wiki_attachments/275411/ArcBiggerButton2.png キーを押したままにすると、アークが縮小または拡大されます。Shift キーを押したままにすると、アークのサイズをすばやく変更できます。

  • Backspace キーを押して、最後の頂点を削除します。

ループ削除

SOLIDWORKS PCB では、差動ペアのインターラクティブ配線時にループ削除(Loop Removal)がサポートされています。配線中には、既存の配線の一部を変更することがよく必要になります。このような場合、トラック セグメントをクリックしてドラッグする設計タイプのアプローチを使用して既存の配線を変更するのではなく、リルートします。そのためには、差動ペア配線(Differential Pair Routing)コマンドを起動し、既存の配線をクリックして開始した後、既存の配線と再び交わるまで新しいパスを配線します。これにより、古いパスと新しいパスを含むループが作成されますが、問題ありません。右クリックするか、Esc キーを押して配線を終了するとすぐに、重複するビアを含め、重複するセグメントが自動的に削除されます。

この機能を使用するには、プリファレンス(Preferences)ダイアログの PCB エディタ(PCB Editor) - インターラクティブ配線(Interactive Routing)ページで自動的にループを削除(Automatically Remove Loops)オプションを有効にします。配線中にこの機能のオンとオフを切り替えるには、Shift + D キーボード ショートカットを使用します。

ヒント

  1. インターラクティブ配線のプリファレンスは、プリファレンス(Preferences)ダイアログの PCB エディタ(PCB Editor) - インターラクティブ配線(Interactive Routing)ページで定義します。配線中にこれらのプリファレンスにアクセスするには、Tab ショートカットを使用します。
  2. 差動ペア配線に必要なルールは、手動で定義することも、Differential Pair Editor モードで構成されているときに PCB パネルから使用可能な差動ペア ルール ウィザード(Differential Pair Rule Wizard)を使用して定義することもできます。
  3. SOLIDWORKS PCB における差動ペア ネットの配線の概要については、差動ペア配線を参照してください。

 

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