SOLIDWORKS PCB と SOLIDWORKS の間のコラボレーション

今日の高度な電子製品は、形状やサイズが極めて多岐にわたります。このような製品を設計するときには、機械設計チームと電子設計チームの間の密接なコラボレーションが、開発プロセス全体を通して求められます。

SOLIDWORKS PCB は、コラボレーションを促進する目的で、ECAD 設計者と MCAD 設計者が、SOLIDWORKS PCB と SOLIDWORKS® の間で、設計の変更を直接受け渡しできるように作られています。SOLIDWORKS PCB で基板形状や重要なコンポーネントの位置を変更した後、ボタンをクリックするのみで、それらの変更を SOLIDWORKS で作業する同僚の設計者に渡すことができます。

これらのコラボレーション機能の基盤となるのは、SOLIDWORKS PCB Services です。ECAD 設計用の安全なストレージとして使用されるだけでなく、デザイン スペース間のパイプとしても機能し、基板形状やコンポーネントの変更、さらにはデザイナーのコメントを転送するために使用されます。


設計の変更は、SOLIDWORKS PCB Services を介して SOLIDWORKS と SOLIDWORKS PCB の間で透過的に受け渡しされます。

SOLIDWORKS PCB と SOLIDWORKS のコラボレーションを実現するには、SOLIDWORKS PCB プロジェクトを SOLIDWORKS PCB Services に管理対象プロジェクトとして保存する必要があります。Collaboration Server は、ECAD データを保存するためだけでなく、基板形状や各コンポーネントの MCAD モデルを含め、共有デザイン要素を保存するためにも使用されます。Collaboration Server は、コラボレーション変更履歴を保存するための機能も備えています。
コラボレーションを開始する前に、コラボレーション要件を満たしていることを確認してください。要件の詳細については、インストールの概要を参照してください。

アプリケーション間のコラボレーションの仕組み

SOLIDWORKS と SOLIDWORKS PCB の間のコラボレーションは、ECAD-MCAD Project Collaboration Server を介して極めて透過的に行われます。各アプリケーションで作業するデザイナーは、コラボレーション パネルを使用して、2 つのスペース間でデザインの変更をプッシュおよびプルします。一方からプッシュを実行するとすぐに、変更を受け取る側でコラボレーション パネルに変更通知が自動的に表示されます。

コラボレーション パネル

コラボレーション パネルを表示する手順は次のとおりです。

  • SOLIDWORKS PCB - リボンの表示(View) | システム(System) | ボタンをクリックします。
  • SOLIDWORKS - アプリケーションの右側にある一連のタブから タスク パネル タブを選択します。

 
各アプリケーションにそれぞれコラボレーション パネルが用意されており、そのパネルを使用して、ローカルの変更を Collaboration Server/ボルトにプッシュしたり、Collaboration Server/ボルトからプルしたりすることができます。

これらのパネルは、SOLIDWORKS PCB に SOLIDWORKS PCB SOLIDWORKS Collaboration 拡張をインストールし、SOLIDWORKS 用の SOLIDWORKS PCB - SOLIDWORKS Collaboration アドインをインストールした時点で使用可能になります。

アクティブ アプリケーションから Collaboration Server に変更をプッシュするには、プッシュ(Push)ボタンを使用し、Collaboration Server からアクティブ アプリケーションに変更をプルするには、プル(Pull)ボタンを使用します。

コンポーネントの要件

コラボレーション中に、3D コンポーネント モデルを双方向に受け渡すことができます。

SOLIDWORKS PCB 側では、モデルは(PCB ライブラリ エディタに配置された)コンポーネントに含まれている必要があります。PCB に直接配置された無償の 3D モデルはサポートされていません。

次の 3D モデル フォーマットがサポートされています。

  • SOLIDWORKS PCB 3D ボディ オブジェクト
  • SOLIDWORKS 部品 - *.SldPrt(2015 フォーマットまで)
  • Parasolid モデル - *.x_t および *.x_b(V27 まで)
  • STEP モデル - *.Stp および *.Step(203 および 214 フォーマット)

この段階では、部品を SOLIDWORKS に配置し、SOLIDWORKS PCB にプッシュすることはできません。

コンポーネントの場所

SOLIDWORKS PCB でプッシュを実行すると、各 PCB コンポーネントが Parasolid モデルとして保存され、Collaboration Server にアップロードされます。この処理が行われるのは、コンポーネントを保持する 3D ボディ オブジェクトが SOLIDWORKS PCB ワークスペースに表示されている場合のみです。表示されていない場合、コンポーネントは Collaboration Server にアップロードされません。SOLIDWORKS PCB では、ビューの構成(View Configurations)ダイアログの表示をオン/オフ(Show/Hide)タブを使用して、3D ボディの表示設定を制御します。3D ボディ(3D Bodies)オプションが非表示(Hidden)に設定されている場合、コンポーネントはアップロードされません。

基板形状の要件

SOLIDWORKS PCB で定義した形状は SOLIDWORKS に正しく転送されます。SOLIDWORKS の形状のサポートを強化しているとはいえ、次に示すように、すべてを完全にサポートしているわけではありません。

SOLIDWORKS のスロット、スプライン、楕円、および放物線形状のサポート

SOLIDWORKS には広範な図面形状が用意されており、それらを使用して、基板形状や基板内のカットアウトを定義できます。SOLIDWORKS PCB は、スロット、楕円、および放物線形状のサポートを含め、それらの形状を高度にサポートしています。現在、スプラインと円錐形状は完全にはサポートされていませんが、SOLIDWORKS で作成したスプライン形状を SOLIDWORKS PCB に正しく転送することは可能です。

サポートされている形状を使用して、SOLIDWORKS で基板形状や基板カットアウトを定義できます。これらの基板形状やカットアウトは、SOLIDWORKS PCB でリジョンとして動作します。すべての形状とは限りませんが、編集が可能な場合もあります。


SOLIDWORKS の形状を使用し、SOLIDWORKS PCB に転送できます。

SOLIDWORKS PCB でのコラボレーション プロセスの開始

SOLIDWORKS PCB で、各プロジェクトを作成し、ECAD-MCAD Project Collaboration Server に管理対象プロジェクトとして保存します。

SOLIDWORKS PCB からコラボレーションを開始する手順は次のとおりです。

  1. 回路図を通常の方法で設計します。
  2. PCB をプロジェクトに追加し、プロジェクトを保存します。空白の基板を使用してコラボレーション プロセスを開始することも、必要に応じて、通常の方法(デザイン(Design) » PCB ドキュメント <PcbFilename> を更新(Update PCB Document <PcbFilename>))を使用して、最初に回路図から基板にコンポーネントを転送することもできます。
  3. すべて保存(Save All)ファイル(Files)メニュー)を使用して、変更したファイルをすべて保存します。
  4. ホーム(Home) | プロジェクト(Project) | プロジェクト(Project) » プロジェクトをコミット(Commit Project)を選択して、すべての変更を Collaboration Server にコミットします。
  5. SOLIDWORKS PCB で PCB をアクティブ ドキュメントにします。
  6. SOLIDWORKS Collaboration パネルで、プッシュ(Push)ボタンをクリックします。下の画像に示すように、コメントの入力を求められたら、入力し、ポスト(Post)ボタンをクリックしてプロセスを完了します。この操作を通じて次の処理を行います。
    • デザインに含まれる基板と各コンポーネントの Parasolid モデル ファイルを作成し、ECAD プロジェクト フォルダの作業コピー内の \<ProjectName> SOLIDWORKS Collaboration\Exported 3D Models\ フォルダに保存します。
    • これらのモデルを Collaboration Server の \Mechatronic 3D Models\ フォルダにリリースします。

   
SOLIDWORKS PCB からコラボレーションを開始する手順 - コラボレーション パネルでプッシュ(Push)をクリックしてから、ポスト(Post)をクリックしてメッセージをポストし、共有要素(基板形状とコンポーネント)をアップロードします。

コラボレーションに必要な管理対象プロジェクトは、自動的に使用可能になるわけではありません。コラボレーション パネルでプッシュ(Push)を実行して、必要なコラボレーション要素を Collaboration Server に保存する必要もあります。

SOLIDWORKS からこのプロジェクトにアクセスする手順は次のとおりです。

  1. SOLIDWORKS で、 アイコンをクリックして、SOLIDWORKS PCB Collaboration パネルを開きます。
  2. リポジトリから作成(Create from Repository)ボタンをクリックします。プロジェクトを選択(Select Project)ダイアログが開き、Collaboration Server に保存されている管理対象プロジェクトのうち、現在の SOLIDWORKS ユーザーに開く権限があるプロジェクトがすべて一覧表示されます。 
  3. 管理対象プロジェクトのリストからプロジェクトを選択し、OK をクリックします。これにより、どの管理対象プロジェクトから基板を開くかについて、SOLIDWORKS が認識するようにします。該当する基板が SOLIDWORKS PCB でコミットされていない場合、この手順は失敗します。
  4. 次の手順では、SOLIDWORKS 側で基板デザインを保持するために使用する SOLIDWORKS アセンブリを保存します。名前を付けて保存(Save As)ダイアログが表示されたら、SOLIDWORKS アセンブリを適切な場所に保存するように構成します。
  5. Altium SOLIDWORKS Collaboration ダイアログが表示され、サーバーからデザインをプル中(Pulling Design from Server)コンポーネントの変更を適用中(Applying Component Change)など、プロセスの各段階のステータスが示されます。このプロセスは次のようになります。
    • Collaboration Server から基板形状を読み取って、その SOLIDWORKS アセンブリ(*.sldsam)を作成します。
    • Parasolid コンポーネント モデルを \Temperature Sensor Electronic Parts\Downloaded Models\ MCAD フォルダにダウンロードします。
    • 各 Parasolid コンポーネント モデルから SOLIDWORKS コンポーネント(*.sldprt)を作成します。
    • コンポーネントを基板上に配置します。
  6. これで、基板の形状を変更してコンポーネントを SOLIDWORKS に移動し、それらの変更を Collaboration Server にプッシュし、更新後の PCB デザインを SOLIDWORKS PCB にプルできます。

SOLIDWORKS でのコラボレーション プロセスの開始

ワークフローは SOLIDWORKS から開始し、必要に応じて SOLIDWORKS PCB に移動することもできます。

この方向に作業する場合のアプローチは次のとおりです。

  1. SOLIDWORKS で、右側にある一連のパネル アイコンの中から アイコンをクリックして、SOLIDWORKS PCB Collaboration パネルを開きます。
  2. パネル内の新規基板アセンブリを作成(Create New Board Assembly)ボタンをクリックします。
  3. プロジェクトを選択(Select Project)ダイアログが開き、次のいずれかの操作を行うことができます。
    • 既存の管理対象プロジェクトをリストから選択し、そのプロジェクトに対して基板を作成します。
    • 新規プロジェクト作成(Create New Project)ボタンをクリックして、Collaboration Server に管理対象プロジェクトを新規に作成します。このオプションを選択した場合は、新規サーバー プロジェクトを作成(Create New Server Project)ダイアログが開くため、名前(Name)および説明(Description)に適切なプロジェクト名および説明を入力します。リポジトリ(Repository)設定は、Collaboration Server で管理対象プロジェクトを保存するために使用されるリポジトリです。通常は DefaultRepository に設定されるため、OK をクリックしてダイアログを閉じます。
  4. 名前を付けて保存(Save As)ダイアログが開き、SOLIDWORKS アセンブリに名前を指定できます。適切な場所と名前を選択/入力し、保存(Save)をクリックしてアセンブリを保存します。
  5. SOLIDWORKS にデフォルトの基板形状が表示されたら、必要に応じてその形状を編集して保存し、アセンブリ エディタに戻ります(SOLIDWORKS は複数のアプリケーションとして実行されるため、部品エディタまたはアセンブリ エディタのいずれでもかまいません)。
  6. SOLIDWORKS で *.sldasm をアクティブ ドキュメントにすると、SOLIDWORKS PCB Collaboration パネルにプル(Pull)ボタンとプッシュ(Push)ボタンが表示されるため、プッシュ(Push)をクリックして、デザインを Collaboration Server にプッシュします。

SOLIDWORKS PCB からこの新規基板形状にアクセスできるようになりました。

  1. SOLIDWORKS PCB で、ファイル(File) » プロジェクトを開く(Open Project)を選択して、管理されたプロジェクトを開く(Open Managed Project)ダイアログを表示します。
  2. 必要な管理対象プロジェクトをリストから選択し、OK をクリックしてプロジェクトを開きます。
  3. 次に、空白の PCB をプロジェクトに追加する必要があります。ホーム(Home) | プロジェクト(Project) | プロジェクト(Project) » 新規 PCB を追加(Add new PCB)を選択し、ファイル名を入力(Enter File Name)ダイアログが表示されたら、新規 PCB に名前を指定し、OK をクリックしてプロジェクトの一部として保存します(その後、開いて編集できます)。
  4. 次の手順では、SOLIDWORKS で定義し、Collaboration Server にプッシュした形状に基づいて基板を更新します。基板を 3D モードで表示している場合は、更新を容易に確認できます。3 ショートカット キーを押すと、3D 表示モードに切り替わります。
  5. 基板が表示されていない場合は、SOLIDWORKS Collaboration パネルを開くと、アクティブな基板が検出され、新規の変更を検出(New changes have been detected!)とフラグ付けされます。
  6. ビューの変更(View Changes)ボタンをクリックすると、検出されたすべての変更を一覧表示するようにパネルが切り替わり、変更をクリックすると、その変更がワークスペースに表示され、3 回紫で点滅します。
  7. 確定する変更のチェックボックスを有効にし、確定(Accept)ボタンをクリックします。提案された紫の形状に合わせて基板形状/カットアウトが変更されます。
  8. SOLIDWORKS PCB のプロジェクト(Projects)パネルで基板を右クリックし、保存(Save)を選択します。
  9. プロジェクト(Projects)パネルでプロジェクトを右クリックし、プロジェクトを保存(Save Project)を選択します。
  10. プロジェクト(Projects)パネルでプロジェクトを右クリックし、プロジェクトをコミット(Commit Project)を選択します。この場合、プロジェクト ファイルが保存され、変更したすべてのファイルが Collaboration Server にコミットされます。

変更内容の確認と確定

SOLIDWORKS PCB と SOLIDWORKS のいずれについても、単純なアニメーションを使用して、候補となる変更が提案されます。紫の形状の点滅表示またはアニメーションによって、新しいオブジェクト/場所が表されます。

下の GIF アニメーションは、SOLIDWORKS から SOLIDWORKS PCB に渡される 3 つのコンポーネントの再配置の例を示しています。提案された変更をクリックすると、ワークスペースにそのアニメーションが表示され、確定(Accept)チェックボックスを有効にすると、デザインにその変更が反映されます。右クリック メニューのコマンドを使用すると、複数のチェックボックスの状態を切り替えることができます。


変更されたオブジェクトは紫で表示され、前後の状態を簡単に区別できるようになっています。必要な各変更の確定(Accept)チェックボックスを有効にします。

 

アクティブ ドキュメント内の選択したテキストや画像に関する問題を報告します。