PCB インスペクタ
内容
PCB インスペクタ(PCB Inspector)パネルと PCB フィルタ(PCB Filter)パネルおよび PCB パネルは相互に補完する関係にあります。
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概要
PCB インスペクタ(PCB Inspector)パネルを使用すると、アクティブな PCB ドキュメント内の 1 つまたは複数のデザイン オブジェクトのプロパティを確認し、編集することができます。適切なフィルタリングと組み合わせて使用すると、同じ種類の複数のオブジェクトを 1 か所で簡単に変更できます。このパネルと PCB フィルタ(PCB Filter)パネルは相互に補完する関係にあります。
パネルへのアクセス
PCB インスペクタ(PCB Inspector)パネルにアクセスするには、次の方法があります。
- メイン メニューから表示(View) | PCB | をクリックします。
- F11 キーボード ショートカットを使用します。
パネルの表示スコープの定義
PCB インスペクタ(PCB Inspector)パネルでは、フィルタリング コントロールを使用して、パネルに表示するオブジェクト(表示スコープ)を定義することができます。これにアクセスするには、パネルの上部にある下線付きのコントロールを使用します。
ワークスペース内で、さまざまなタイプの多数のオブジェクトを選択している場合があります。そのようなすべてのオブジェクトの中から、選択内容を破棄したり、変更したりすることなく、特定のオブジェクト タイプのプロパティのみを編集できます。
含める(Include)リンク コンテキスト メニューを使用して、表示して編集できるようにパネルに含めるオブジェクト タイプ(すべてのオブジェクトまたは特定のオブジェクト)を選択します。特定のオブジェクト タイプを 1 つまたは複数選択するには、表示のみ(Display only)オプションを有効にした後、下のリスト内で目的のオブジェクトの横にあるチェック ボックスを有効にします。リストには、メイン ワークスペースで現在選択されているオブジェクト タイプのみが表示されます。
特定のオブジェクト タイプが表示対象として有効になると、コントロールに選択が反映され、有効なタイプがカンマで区切って表示されます。
オブジェクト属性の調査
PCB インスペクタ(PCB Inspector)パネルのメイン領域には、定義した表示スコープに該当するオブジェクトの属性を示すセクションが表示されます。
PCB 設計エディタ ウィンドウで 1 つのオブジェクトをクリックすると、そのオブジェクトが選択され、関連する属性が PCB インスペクタ(PCB Inspector)パネルに表示されます。情報は、次に示す収縮可能な共通のセクションに表示されます。
Kind
このパネル セクションには、「インすペクト(調査)」するデザイン オブジェクトの種類に関連する 1 つのエントリのみが表示されます。たとえば、ワークスペースでコンポーネントをクリックすると、コンポーネント(Component
)というエントリが表示され、コンポーネント デジグネータをクリックすると、テキスト(Text
)というエントリが表示されます。
Object Specific
このセクションには、調査するオブジェクトに固有の属性のうち、グラフィック属性でないものが表示されます。たとえば、コンポーネントを選択すると、コンポーネントに固有である次の属性が表示されます。
- Layer
- 名前(Name)(コンポーネント デジグネータ)
- Component Comment
- 文字列をロック(Lock Strings)
- Footprint
- チャネル オフセット(Channel Offset)
- その他
他のオブジェクトを選択すると、異なる属性が表示されます。たとえば、パッド オブジェクトを選択すると、Pad Shape/Size, Solder Mask Tenting
、エレクトリカル タイプ(Electrical Type
)などの属性が表示されます。
グラフィック
パネルのこのセクションには、選択したオブジェクトのグラフィック属性が表示されます。ここに表示される属性には、オブジェクトの場所、回転と寸法、ロックされているかどうかなどがあります。
オブジェクト属性の編集
選択したオブジェクトの属性は、パネル内の関連するエントリを使用して編集できます。編集しているフィールドの外をクリックすると、変更内容が有効になります。これは、このパネルを使用してオブジェクトのプロパティを編集する利点の 1 つです。つまり、オブジェクトのプロパティ ダイアログをその都度閉じて再度開かなくても、パネルを開いたまま、必要に応じて連続的に属性を変更できます。
調査するオブジェクトに子オブジェクトが関連付けられている場合は、それらの子オブジェクトが Object Specific セクションに(ハイパーリンクのように)青で表示されます。すべてのタイプのオブジェクトを含めるようにインスペクタが設定されている場合は、子オブジェクト自体をパネルで編集できます。
次の画像のように、これらのエントリをクリックすると、子オブジェクトのみに関する属性が表示されます(画像では、2 つの LED コンポーネントが選択されています)。それぞれの子オブジェクトについて、リンクを使用して親オブジェクトに戻ることができます。次の場合、コンポーネント(Component)リンクをクリックすると、パネルは親(コンポーネント)オブジェクトに戻ります。
このパネルを使用して編集することの主な利点は、ダイアログを使用してオブジェクトを一度に 1 つずつ編集しなくても、複数のオブジェクトを 1 か所で編集できることです。同じタイプのオブジェクトを選択することも、異なるタイプのオブジェクトを選択することもできます。選択したすべてのオブジェクトに共通する属性がパネルに表示されます。オブジェクト間で異なる値を持つ共通の属性は<...>
として表示されます。必要に応じて属性を編集すると、選択した各オブジェクトに変更内容が即座に伝達されます。
フィルタリングを使用して、デザイン内のオブジェクトの特定のグループを対象として絞り込んだ後、PCB インスペクタ(PCB Inspector)パネルを使用して、それらの複数のオブジェクトの属性を直接編集することができます。
数値を含む属性の編集
選択したオブジェクトの数値ベースの属性については、新しい値を入力して、既存の値を置き換えることで、その属性の値を最も簡単に変更できます。プラスおよびマイナス演算子を使用して、値の符号を指定することもできます。符号なしで入力した値は、正と見なされます。したがって、20 と入力した場合、+20 と入力した場合と同じになります。
特定の測定単位を指定して値を入力することもできます。この場合、ドキュメントに定義されている現在の単位に値が変換されます。単位を指定しなかった場合は、ドキュメントに設定されているデフォルトの単位が使用されます。
文字列ベースの属性のバッチ置換
選択した複数のオブジェクトに共通する文字列ベースの属性を変更することが望ましい場合があります。たとえば、選択したヘッダー コンポーネントのデジグネータを P1、P2、P3 などから HDR1、HDR2、HDR3 などに名前変更するとします。このタイプのバッチ置換を実行するために、文字列置換構文の使用がパネルでサポートされています。
文字列置換エントリを中括弧で囲み、{oldstring=newstring}
という形式を使用します。
この形式のエントリでは、属性の値で見つかったすべての「oldstring」が「newstring」に置き換えられます。デジグネータの場合、名前(Name)属性の値フィールドに {P=HDR)
のように入力します。
同じターゲット文字列内の複数の異なる文字列部分を置き換えるには、複数の置換エントリを入力し、それぞれを独自の 1 組の中括弧で囲みます。たとえば、4 つの USB ポートおよびコネクタ ヘッダーを備えたデザインの PCB に次のフリー テキスト文字列が配置されているとします。各ポートでは、USB2 標準がサポートされています。
HDRA_2
HDRB_2
HDRC_2
HDRD_2
USB3 標準をサポートするようにデザインが改訂され、わかりやすくするために名前のプレフィックスを USB-
に変更する必要がある場合、文字列のバッチ置換を使用して、1 回の操作でフリー テキスト文字列を USB-A_3
、USB-B_3
などに変更することができます。
関連するすべての文字列を選択し、PCB インスペクタ(PCB Inspector)パネルを開いて、文字列(String)属性値を {HRD=USB-} (2=3}
のように入力します。このエントリに従って、最初の式、2 つ目の式の順に置換が行われ、バッチ置換が実質的に実行されます。
文字列ベースの属性のスマート編集
PCB インスペクタ(PCB Inspector)パネルでは、さらに、スマート編集機能を使用した文字列の変更もサポートされています。値が文字列である、選択したオブジェクトについて共通の属性をクリックします。セルの右端で ボタンが使用可能になります。このボタンをクリックすると、スマート編集(Smart Edit)ダイアログにアクセスできます。
バッチ置換(Batch Replace)タブには、前述の文字列置換に似た、シンプルで簡単な置換機能が用意されています(ただし、中括弧を入力する必要はありません)。元の値(From)フィールドをクリックし、置き換える現在の文字列の部分を入力します。置換後の値(To)フィールドをクリックし、代わりに使用する文字列を入力します。使い慣れた文字列置換構文がタブの下部に表示されます。
たとえば、3 つのヘッダー コンポーネントのデジグネータについて、現在のプレフィックス P
を HDR
に変更する必要があるとします。この場合、それらのコンポーネントを選択し、パネルで名前(Name)属性をクリックして、スマート編集(Smart Edit)ダイアログにアクセスします。次に、バッチ置換(Batch Replace)タブで、元の値(From)フィールドに P
と入力し、置換後の値(To)フィールドに HDR
と入力します(したがって、置換文字列は {P=HDR})
となります)。OK をクリックすると、それに応じてデジグネータが変更されます。
基本的な文字列置換と同様に、バッチ置換(Batch Replace)タブでは、同じターゲット文字列内の複数の異なる文字列部分を置き換えることができます。異なる元の値(From)-置換後の値(To)のエントリとして、さまざまな置換を入力します。たとえば、前述の USB ポートの例では(文字列ベースの属性のバッチ置換を参照)、HDRx_2
という形式の文字列を USB-x_3
に変更する必要があります。この場合は、バッチ置換(Batch Replace)タブで 2 つの異なる置換エントリを入力します。