インターラクティブ配線

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インターラクティブ配線(Interactive Routing)ダイアログ。

概要

このダイアログを使用すると、設計者は、配線中のネットのインターラクティブ配線設定をその場で変更できます。このダイアログでは、正確なトラック幅またはビア サイズを入力できることで、非常に高いレベルの制御を簡単に実現できます。また、配線を中断してプリファレンス(Preferences)ダイアログを開く必要なく、現在のインターラクティブ配線設定をチェックすることもできます。

アクセス

このダイアログには、PCB エディタでインターラクティブ配線を使用してネットの配線を行っているときに、Tab キーを押すことによってアクセスします。

オプション/コントロール

ダイアログは基本的に 2 つの領域に分かれています。左側には、該当する特定のネットのインターラクティブ配線に関連するコントロールが用意され、右側には、プリファレンス(Preferences)ダイアログの PCB エディタ(PCB Editor) - インターラクティブ配線(Interactive Routing)ページと同じ、システム レベルのインターラクティブ配線オプションが用意されています。

左側(ネット固有)

プロパティ

  • トラック幅(Track Width) - 現在の配線レイヤでのネット配線に使用される現在のトラック幅。このフィールドには、次の方法で値が挿入されます。
    • トラック幅モード(Track Width Mode)Rule Minimum に設定している場合は、(最優先で適用される配線幅ルールで)対応するレイヤに対して定義されている最小幅がフィールドに設定されます。
    • トラック幅モード(Track Width Mode)優先ルール(Rule Preferred)に設定している場合は、(最優先で適用される配線幅ルールで)対応するレイヤに対して定義されている推奨幅がフィールドに設定されます。
    • トラック幅モード(Track Width Mode)Rule Maximum に設定している場合は、(最優先で適用される配線幅ルールで)対応するレイヤに対して定義されている最大幅がフィールドに設定されます。
    • トラック幅モード(Track Width Mode)User Choice に設定している場合は、(インターラクティブ配線時に Shift + W キーを押して)ユーザーが選択したお気に入り配線幅がフィールドに設定されます。
    • フィールドのドロップダウン リストから、定義済みのお気に入り配線幅を選択します。このリストには、お気に入りのインターラクティブ配線幅(Favorite Interactive Routing Widths)ダイアログに構成されている定義済みのすべての幅が反映されます。
    • 特定の値をフィールドに直接その場で入力します。
適用されるルールに対して特性インピーダンスによって変動する幅(Characteristic Impedance Driven Width)オプションを有効にしている場合、フィールドには幅の代わりにインピーダンス値が反映されます。すべてのレイヤに適用(Apply to all layers)オプションの下のテキスト フィールドには、適宜、幅(Width)またはインピーダンス(Impedance)のいずれかが反映されます。
  • すべてのレイヤに適用(Apply to all layers) - このオプションでは、定義した幅のスコープを指定レイヤのみにするか、すべての配線レイヤにするかを指定します。ユーザー選択機能を使用するとき、デザイナーが定義済みのお気に入り配線幅をすべてのレイヤに適用することを選択した場合は、このオプションが有効になります。
  • ビア穴のサイズ(Via Hole Size) - 該当するネットの配線でビアを作成するときに使用される現在のビア穴のサイズ。このフィールドには、次の方法で値が挿入されます。
    • ビア サイズ モード(Via Size Mode)Rule Minimum に設定している場合は、(最優先で適用される配線ビア スタイル ルールで)ビア穴のサイズに対して定義されている最小値がフィールドに設定されます。
    • ビア サイズ モード(Via Size Mode)優先ルール(Rule Preferred)に設定している場合は、(最優先で適用される配線ビア スタイル ルールで)ビア穴のサイズに対して定義されている推奨値がフィールドに設定されます。
    • ビア サイズ モード(Via Size Mode)Rule Maximum に設定している場合は、(最優先で適用される配線ビア スタイル ルールで)ビア穴のサイズに対して定義されている最大値がフィールドに設定されます。
    • ビア サイズ モード(Via Size Mode)User Choice に設定している場合は、(インターラクティブ配線時に Shift + V キーを押して)ユーザーが選択したお気に入りビア サイズの穴サイズ部分がフィールドに設定されます。
    • 特定の値をフィールドに直接その場で入力します。
  • ビアの直径(Via Diameter) - 該当するネットの配線でビアを作成するときに使用される現在のビア直径。このフィールドには、次の方法で値が挿入されます。
    • ビア サイズ モード(Via Size Mode)Rule Minimum に設定している場合は、(最優先で適用される配線ビア スタイル ルールで)ビア直径に対して定義されている最小値がフィールドに設定されます。
    • ビア サイズ モード(Via Size Mode)優先ルール(Rule Preferred)に設定している場合は、(最優先で適用される配線ビア スタイル ルールで)ビア直径に対して定義されている推奨値がフィールドに設定されます。
    • ビア サイズ モード(Via Size Mode)Rule Maximum に設定している場合は、(最優先で適用される配線ビア スタイル ルールで)ビア直径に対して定義されている最大値がフィールドに設定されます。
    • ビア サイズ モード(Via Size Mode)User Choice に設定している場合は、(インターラクティブ配線時に Shift + V キーを押して)ユーザーが選択したお気に入りビア サイズの直径部分がフィールドに設定されます。
    • 特定の値をフィールドに直接その場で入力します。
  • レイヤ(Layer) - 現在の配線レイヤ。フィールドのドロップダウンを使用して、配線先を別のレイヤに切り替えることができます(ビアは、ビア穴のサイズ(Via Hole Size)およびビアの直径(Via Diameter)フィールドに基づくサイズでターゲット レイヤに作成されます)。
定義済みのお気に入りトラック幅またはビア サイズ(あるいはその両方)を選択したり、その場で値を指定したりすることは、ユーザー選択と呼ばれます。これにより、設計者は、適用される配線ルールの境界内から出ることなく、配線作業の効率を高めることができます。
ダイアログに読み込まれ、および設定されるすべての値が、ルール システムによって完全に保護されます。適用される最小/最大ルール設定から外れる配線幅や配線ビア サイズを選択または指定した場合は、幅、穴サイズまたは直径が、最小値と最大値のいずれか適切な方に切り捨てられます。

配線幅の制約条件

ダイアログのこの領域には、ネットの配線トラック幅に適用されているデザイン ルールに関して、次の情報が表示されます。

  • ルールの名前。
  • 現在の配線レイヤのトラック幅の最小/最大許容値。値は、ワークスペース単位および計算されたインピーダンス値で表示されます。
トラック幅について、適用されるルールの境界(最大/最小限度)から外れるユーザー選択値が入力された場合(定義済みのお気に入りから選択または直接その場で入力)、領域に(赤色のテキストで)フラグが付けられます。このような値は、単に範囲内に収まるように切り捨てられます。
  • 幅ルールを編集(Edit Width Rule) - このボタンをクリックすると、PCB ルールを編集(Edit PCB Rule)ダイアログが開き、適用される幅ルールが読み込まれます。ここでは、必要に応じてルールのスコープまたは制約条件(あるいはその両方)を変更できます。

ビア スタイルの制約条件

ダイアログのこの領域には、ネットの配線ビア スタイルに適用されているデザイン ルールに関して、次の情報が表示されます。

  • ルールの名前。
  • ビアの穴サイズの最小/最大許容値。
  • ビアの直径の最小/最大許容値。
ビアの穴サイズ/直径について、適用されるルールの境界(最大/最小限度)から外れるユーザー選択値が入力された場合(定義済みのお気に入りから選択または直接その場で入力)、領域に(赤色のテキストで)フラグが付けられます。このような値は、単に範囲内に収まるように切り捨てられます。
  • ビア ルール編集(Edit Via Rule) - このボタンをクリックすると、PCB ルールを編集(Edit PCB Rule)ダイアログが開き、適用される配線ビア スタイル ルールが読み込まれます。ここでは、必要に応じてルールのスコープまたは制約条件(あるいはその両方)を変更できます。

ピン スワップ

  • 有効(Enabled) - コンポーネントのピン(パッド)が該当するネットに属する場合に、それらのコンポーネントでのピン スワップを許可するには、このオプションを有効にします。
ピン スワップを使用するには、プロジェクトをコンパイルして最新の状態にする必要があります。最新の状態でないと、警告フラグ(赤色のテキスト)が表示され、有効(Enabled)オプションがグレーアウトされます。その場合は、プロジェクトをコンパイル(Compile Project)ボタンが表示され、このボタンを使用して、プロジェクトを再コンパイルできます。コンパイル後、プロジェクトを保存する必要があることに留意してください。これについても、フラグ(赤色のテキスト)が表示されます。保存が完了するまで、有効(Enabled)コントロールはグレーアウトされたままです。
プロジェクトを保存する際には、インターラクティブ配線(Interactive Routing)ダイアログを閉じる必要があるため、ネットのピン スワップ機能をその場で切り替えたい場合は、インターラクティブ配線を開始する前に、コンパイルおよび保存を済ませておくことをお勧めします。

メニュー コマンド

ダイアログのこちら側では、メニュー(Menu)ボタンに関連付けられているメニューから次のコマンドを使用できます。

  • 幅ルールを編集(Edit Width Rule) - このコマンドを使用すると、PCB ルールを編集(Edit PCB Rule)ダイアログが開き、現在適用されている幅ルールが読み込まれます。ここでは、必要に応じてルールのスコープまたは制約条件(あるいはその両方)を変更できます。
  • ビア ルール編集(Edit Via Rule) - このコマンドを使用すると、PCB ルールを編集(Edit PCB Rule)ダイアログが開き、現在適用されている配線ビア スタイル ルールが読み込まれます。ここでは、必要に応じてルールのスコープまたは制約条件(あるいはその両方)を変更できます。
  • 幅ルールを追加(Add Width Rule) - このコマンドを使用すると、新しい幅ルールを作成できます。PCB ルールを編集(Edit PCB Rule)ダイアログが表示され、必要なルールを定義できます。
  • ビア ルールを追加(Add Via Rule) - このコマンドを使用すると、新しい配線ビア スタイル ルールを作成できます。PCB ルールを編集(Edit PCB Rule)ダイアログが表示され、必要なルールを定義できます。
  • ネットのプロパティ(Net Properties) - このコマンドを使用すると、ネットを編集(Edit Net)ダイアログが開き、ネットのプロパティを参照および変更できます。
新規に作成したルールは優先度が最も高くなるため、該当するネットにはそのルールが適用されることになります。

右側(システム プリファレンス)

配線矛盾の解決

  • 障害物を無視(Ignore Obstacles) - このオプションを有効にすると、インターラクティブ配線による配線時にトラックが障害物を通過できるようになります。
  • 障害物を押し込む(Push Obstacles) - このオプションを有効にすると、インターラクティブ配線によって既存トラックが邪魔にならない場所に移動されます。このモードでは、新しい配線のための場所を空けるためにビアを押し込むこともできます。このモードで違反なしに障害物を押し込むことができない場合は、ルートが妨げられていることを示すインジケータが表示されます。
  • 最初の障害物で停止(Stop At First Obstacle) - このオプションを有効にすると、インターラクティブ配線によってパス内の最初の障害物が検出された時点で、配線が停止されます。
  • 現在のレイヤで自動配線(AutoRoute On Current Layer) - このオプションを有効にすると、インターラクティブ配線によって、現在のレイヤ上の現在のカーソル位置まで自動的に配線されます。
  • 複数レイヤの自動配線(AutoRoute On Multiple Layers) - このオプションを有効にすると、インターラクティブ配線によって、複数の異なるレイヤをまたいで現在のカーソル位置まで自動的に配線されます。代替シグナル レイヤに切り替える際には、必要に応じてビアが配置されます。
自動配線オプションは、状況に応じて各種配線方法を選択できることから、自動配線モードと呼ばれます。たとえば、これらのモードのいずれかを使用して、最初はパスの妨げとなる既存ルートを押し込むようにしていたとしても、押し込みに伴うコストが増えた場合は、より安価な配線ソリューションである迂回パスに切り替えることができます。複数レイヤの自動配線モードを使用している場合は、配線ソリューションとして迂回よりも安価であれば、レイヤの切り替えが選択されることもあります。
これらのインターラクティブ自動配線モードは、配線の最後の数本のルート パスの識別が困難な高密度設計を完成させるために役立ちます。識別が容易な多数のルート パスがある場合の支援を意図した機能ではありません。
  • 現行モード(Current Mode) - このフィールドには、インターラクティブ配線の使用時に選択された現在の配線矛盾解決モードが表示されます。必要に応じて、関連するドロップダウンを使用してモードを変更できます。
配線中にその場で配線モードを切り替えるには、Shift + R キーを使用します。

インターラクティブ配線オプション

  • 90/45 に制限(Restrict To 90/45) - このオプションを有効にすると、配線が 90° と 45° のみに制限されます。
  • 自動的にループを削除(Automatically Remove Loops) - このオプションを有効にすると、手動配線中に作成された冗長ループが自動的に削除されます。これにより、冗長トラックを手動で削除しなくても、接続を再配線できるようになります。
パワー ネットなどでループが必要になった場合は、(関連するネットを編集(Edit Net)ダイアログを使用して)ローカルのネット レベルでループを削除(Remove Loops)オプションを無効にすることができます。指定したネットのループを削除(Remove Loops)ローカル設定は、同じネットに対するこのグローバル設定よりも優先されます。

インターラクティブ配線幅/ビア サイズ ソース

  • 既存のルートからトラック幅を取得(Pickup Track Width From Existing Routes) - このオプションを有効にすると、配置済みトラックからの配線時に既存のトラック幅が使用されます。現在の配線幅が既存のトラックと異なっていても、そのトラックから配線を続ける場合は既存のトラック幅が採用されます。
  • トラック幅モード(Track Width Mode) - このフィールドでは、インターラクティブ配線用のトラック幅モードを選択します。使用可能なモードは次のとおりです。
    • User Choice - このモードを有効にした場合、幅は、Choose Width ダイアログ(配線時に Shift + W キーを押してアクセス)で選択した幅から決定されます。
    • Rule Minimum - このモードを有効にした場合、(最優先で適用される配線幅ルールで)対応するレイヤに対して定義されている最小幅が使用されます。
    • Rule Preferred - このモードを有効にした場合、(最優先で適用される配線幅ルールで)対応するレイヤに対して定義されている推奨幅が使用されます。
    • Rule Maximum - このモードを有効にした場合、(最優先で適用される配線幅ルールで)対応するレイヤに対して定義されている最大幅が使用されます。
  • ビア サイズ モード(Via Size Mode) - このフィールドでは、インターラクティブ配線用のビア サイズ モードを選択します。使用可能なモードは次のとおりです。
    • User Choice - このモードを有効にした場合、ビア サイズは、Choose Via Size ダイアログ(配線時に Shift + V キーを押してアクセス)で選択したサイズから決定されます。
    • Rule Minimum - このモードを有効にした場合、(最優先で適用される配線ビア スタイル ルールで)ビアの直径および穴サイズに対して定義されている最小値が使用されます。
    • Rule Preferred - このモードを有効にした場合、(最優先で適用される配線ビア スタイル ルールで)ビアの直径および穴サイズに対して定義されている推奨値が使用されます。
    • Rule Maximum - このモードを有効にした場合、(最優先で適用される配線ビア スタイル ルールで)ビアの直径および穴サイズに対して定義されている最大値が使用されます。

お気に入り

  • お気に入りのインターラクティブ配線幅(Favorite Interactive Routing Widths) - このボタンをクリックすると、お気に入りのインターラクティブ配線幅(Favorite Interactive Routing Widths)ダイアログにアクセスして、お気に入りのトラック幅を事前定義できます。これらのトラック幅は、インターラクティブ配線を使用してインターラクティブに基板の配線を実行するときに使用されます。
  • お気に入りのインターラクティブ配線ビア サイズ(Favorite Interactive Routing Via Sizes) - このボタンをクリックすると、お気に入りのインターラクティブ配線ビア サイズ(Favorite Interactive Via Sizes)ダイアログにアクセスして、お気に入りのビア サイズを事前定義できます。これらのビア サイズは、インターラクティブ配線を使用してインターラクティブに基板の配線を実行するときに使用されます。

 

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