トラック

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トラック オブジェクトは、配線および汎用的な線の描画に使用します。上の画像では、4 つのトラック セグメントが
配置され、もう 1 つ配置しようとしています。

概要

トラック セグメントはプリミティブ デザイン オブジェクトで、定義された幅の直線です。トラックを使用して、PCB ワークスペースで直線を定義できます。トラックをシグナル レイヤに配置すると、コンポーネント パッド間の電気的な相互接続、つまり配線が形成されます。非エレクトリカル レイヤに配置されたトラックはラインと呼ばれ、コンポーネントの輪郭、指示情報、キープアウト境界などを作成するための汎用の図面要素として使用されます。トラックは、寸法や座標などのグループ デザイン オブジェクトで使用されることもあります。

使用可能な機能

トラックは、PCB エディタと PCB ライブラリ エディタの両方で配置できます。

PCB エディタ

PCB エディタでは、トラックをシグナル レイヤに配置して配線するか、非エレクトリカル レイヤに図面タイプのラインとして配置するかに応じて、異なるコマンドを使用してトラックを配置します。トラックとラインは実際には同じオブジェクトですが、配置中のソフトウェアの動作が異なるため、別のコマンドが用意されています。インターラクティブ配線(Interactive Routing)など、トラック配置コマンドを実行すると、クリック位置が監視され、クリック位置の下にある既存のオブジェクト(パッドなど)のネット名が自動的に適用されます。適用可能なデザイン ルールも監視され、ルールに従って配置されます。ライン配置コマンドを実行しても、このような監視動作は生じません。 

  • トラック オブジェクトを配置する手順は次のとおりです。
    • メイン メニューからホーム(Home) | ルーティング(Routing) |  をクリックします。
    • メイン メニューからホーム(Home) | ルーティング(Routing) |  » インターラクティブ配線(Interactive Routing)コマンドを使用します。
配線(Route)ボタンに関連付けられたメニューには、差動ペア配線およびマルチトレース配線のコマンドも用意されています。
  • ライン オブジェクトを配置するには、メイン メニューからホーム(Home) | 配置(Place) |  をクリックします。

PCB ライブラリ エディタ

ライン オブジェクトを配置するには、メイン メニューからホーム(Home) | 配置(Place) |  をクリックします。

配置

使用するコマンド(配線またはラインの配置)に関係なく、基本的な配置動作は同じです。コマンドを起動すると、カーソルが十字に変わり、トラックの配置モードが開始されます。配置は、次の一連の操作を実行して行います。

  1. クリックするか、Enter キーを押して、最初のトラック セグメントの始点を固定します。配線タイプの配置コマンドを実行しているときに、クリックして既存のオブジェクト上で配置を開始すると、そのオブジェクトのネット名がトラックに適用されます。幅は、適用可能な配線幅デザイン ルールによって決定されますが、特定のインターラクティブ配線オプションによって上書きできます。詳細については、後述の説明を参照してください。
  2. カーソルを移動してトラック セグメントを定義し、クリックするか、Enter キーを押して、最初のセグメントの終点を固定します。これは、次に接続するセグメントの始点でもあります。
  3. さらに、カーソルで位置を決定し、クリックするか、Enter キーを押す操作を繰り返して、接続された一連のトラック セグメントを定義する一連の頂点を固定します。
  4. 右クリックするか、Esc キーを押して、接続された現在の一連のトラック セグメントを終了します。

配置中に実行できるその他の操作は次のとおりです。

  • * キーを押して、使用可能なシグナル レイヤを順番に切り替えます。トラックの配置を実行している場合、定義されたドリル ペアと適用可能な配線ビア スタイル デザイン ルールに従って、シグナル レイヤを変更するたびにビアが自動的に追加されます。また、Shift + Ctrl + マウス ホイールの回転の組み合わせを使用して、配線レイヤを順番に移動することもできます。マウス ホイールのノッチごとに、使用可能な次の(または前の)シグナル レイヤに移動します。
  • 数値キーパッドの + および - キーを押して、デザイン内の現在表示可能なすべてのレイヤを前方および後方に順番に切り替えます。
  • Tab キーを押して、関連するプロパティ ダイアログにアクセスします。ダイアログでは、トラックのプロパティをその場で変更できます。

インターラクティブ配線(Interactive Routing)ダイアログ。

ラインの制約条件(Line Constraints)ダイアログ。

配置モード

トラック セグメントを配置する際には、使用可能なコーナー モードが 5 つあり、そのうちの 4 つのモードにはコーナー方向サブモードもあります。配置時には、次の操作を実行できます。

  • Shift + スペースバーを押して、次の 5 つの使用可能なコーナー モードを順番に切り替えます。45 °、アーク付きの 45°、90°、アーク付きの 90°、および任意の角度。
  • スペースバーを押して、2 つのコーナー方向サブモードを切り替えます。
  • いずれかのアーク コーナー モードで、 キーまたは キーを押したままにすると、アークが縮小または拡大されます。Shift キーを押したままにすると、アークのサイズをすばやく変更できます。
  • 1 ショートカット キーを押して、クリックごとに 1 つのセグメントを配置するモード(次に示す最初の 5 つの画像)と、クリックごとに 2 つのセグメントを配置するモード(次に示すセット内の最後の画像)の間で切り替えます。最初のモードでは、塗りつぶされていないトラック セグメントは先行セグメントと呼ばれます。
  • Backspace キーを押して、最後の頂点を削除します。

Shift + スペースバーを押して、使用可能な 5 つのコーナー モードを順番に切り替えます。スペースバーを押して、コーナー方向を切り替えます。1 ショートカット キーを押して、
1 つのセグメントと 2 つのセグメントの間で配置を切り替えます。

キープアウトとしてのトラックの配置

配置や配線の境界などの役割を果たすように、レイヤ固有のキープアウト オブジェクトまたはすべてのレイヤのキープアウトとしてトラックを配置することができます。キープアウトとして定義されたオブジェクトは、写真のプロットや印刷など、出力の生成時には無視されます。レイヤ固有のキープアウト トラックは、単に、キープアウト(Keepout)プロパティが有効になっているトラック オブジェクトです。すべてのレイヤのキープアウトは、キープアウト レイヤに配置されているトラックです。

  • レイヤ固有のキープアウトを配置するには、目的のシグナル レイヤに標準トラックを配置した後、キープアウト(Keepout)プロパティを有効にして、レイヤ固有のキープアウトとして設定します。または、次の方法で、事前定義されたトラック キープアウト配置コマンドを使用します。
    • PCB エディタ - ホーム(Home) | 配置(Place) |  » トラック(Track)をクリックします。
    • PCB ライブラリ エディタ - ホーム(Home) | 配置(Place) |  » キープアウト(Keepout) » トラック(Track)をクリックします。
  • すべてのレイヤのキープアウトを配置するには、キープアウト レイヤをアクティブ レイヤにした後、リボン(ホーム(Home) | 配置(Place) | )からトラックを配置します。

インターラクティブ配線と適用可能なデザイン ルール

インターラクティブ配線中のデフォルトの動作では、適用可能な電気および配線デザイン ルールに従って、トラック セグメントが配置されます。つまり、異なるネットに属する既存のトラック セグメントに違反するように新しいトラック セグメントを配置することはできません。代わりに、デザイン ルールに適合するようにトラック セグメントがクリップされます。このインターラクティブ配線の動作は、配線矛盾の解決(Routing Conflict Resolution)モードと呼ばれます。デフォルトのモードは最初の障害物で停止(Stop at First Obstacle)です(現在のモードは、ステータス バーに表示されます)。Shift + R キーを押すと、使用可能なモードを順番に切り替えることができます。

適用可能なデザイン ルールという用語は、配置するオブジェクトに適用されるすべてのルールを意味します。デザイン ルール エンジンは、デザイナーが各ルールを適用するオブジェクトを正確にスコープ設定したシステムで動作します。配置中に、デザイン ルール エンジンに対してクエリが実行され、現在の配置状況に適用される、優先度が最も高いルールが決定されます。インターラクティブ配線中に適用されるルールは次のとおりです。

  • 電気的クリアランス
  • 配線幅
  • 配線ビア スタイル

次のアニメーションは、配線中の動作を示しています。定義された、適用可能な配線幅デザイン ルールに従って、ネット GND が配線されています。+12V ネットに関連付けられたビアの上にカーソルを移動すると、適用可能な電子クリアランス制約条件デザイン ルールに適合するように、配線が自動的にクリップされています。

インターラクティブ配線中には、適用可能な配線幅およびクリアランス デザイン ルールに従って自動的に配線が行われます。

配線幅が決定される仕組み

ルール エンジンが無効になっていない限り、ソフトウェアの最優先の動作は、常に、適用可能な配線幅デザイン ルールで許可された範囲内に配線幅が収まるようにすることです。一定の範囲の幅をネットで使用できるように許可して、そのネットの電流要件を満たしながら、デザイナーが配線に合わせて柔軟に幅を選択できるようにするアプローチが一般的です。このことをサポートするために、配線幅デザイン ルールには最小値(Min)推奨(Preferred)、および最大値(Max)の設定があり、一定の範囲の幅を許可するように構成したり、特定の幅が必要な場合は、これらを同じ値に設定したりすることができます。幅をインピーダンスで指定したり、シグナル レイヤごとに異なる範囲を指定したりすることもできます。

新しい PCB のすべてのネットに適用されるデフォルトの配線幅デザイン ルール。

設計者が配線を開始する際に最適な配線幅を選択できるように、さまざまなオプションが用意されています。これらは、次に示すプリファレンス(Preferences)ダイアログの PCB エディタ(PCB Editor) - インターラクティブ配線(Interactive Routing)ページで構成します。

インターラクティブ配線のプリファレンス。インターラクティブ配線幅/ビア サイズ ソース(Interactive Routing Width / Via Size Sources)の各オプションによって、
配線を開始したときに使用されるサイズが決まります。

上の画像では、トラック幅モード(Track Width Mode)が優先ルール(Rule Preferred)に設定されています。そのため、パッドなど、既存のネット オブジェクト上で配線を開始したときに、この幅が使用されます。

現在のトラック幅モード(Track Width Mode)は、ステータス バーに表示されます。配線中に 3 ショートカット キーを押すと、モードを順番に切り替えることができます。

ただし、既存のトラック上で配線を開始した場合は、既存のルートからトラック幅を取得(Pickup Track Width From Existing Routes)オプションがトラック幅モード(Track Width Mode)よりも優先され、既存の幅に合わせて新しい幅が設定されます。

設計者は、Shift + W ショートカット キーを押してお気に入りのインターラクティブ配線幅(Favorite Interactive Routing Widths)ダイアログにアクセスすることもできます(下の画像を参照)。ダイアログでは、別の幅を選択できます。また、Tab キーを押して Interactive Routing for Net ダイアログを開き、新しい幅の値を入力することもできます。選択または入力する値は、適用可能なルールで定義された最小値(Min)の設定と最大値(Max)の設定の間にする必要があり、そのようにしない場合は、自動的にこのうちの近い方の値に合わされます。Shift + W キーを押すと、トラック幅モード(Track Width Mode)User Choice に切り替わり、ルールの設定を上書きして幅を手動で選択するようにしたことを表します。

Shift + W キーを押してこのダイアログを開き、優先サイズの
リストから別の幅を選択します。

インターラクティブ配線のショートカット

配線中に、さまざまなショートカットを使用できます。たとえば、Shift + R キーを押すと、使用可能な矛盾解決モードを順番に切り替えることができます。また、Backspace キーを押すと、最後に配置した頂点(コーナー)を取り消すことができます。配線中にショートカットのリストを表示するには、Shift + F1 または ~(チルダ)キーを押します。使用可能なインターラクティブ ショートカットのリストが表示されます。目的のショートカットを選択するか、Esc キーを押してメニューを閉じた後、ショートカット キー シーケンスを使用します。

グラフィック エディット

この編集方法では、配置されたトラック オブジェクトをワークスペース内で直接選択し、そのサイズ、形状、または場所をグラフィカルに変更することができます。

トラック オブジェクトを選択すると、次の編集ハンドルを使用できます。

選択されたトラック。

  • A をクリックしてドラッグし、トラックの終点を再配置します。
  • B をクリックしてドラッグし、トラックの形状を変更します。

PCB エディタには、配線の配置が整然と保たれるように、基板上でトラック セグメントを移動するための高度なアルゴリズムが組み込まれています。トラック セグメントのこのスライド操作をインターラクティブに開始するには、まず、トラック セグメントをクリックして選択し、特殊なカーソルが表示されたら、クリックしたままセグメントをスライドします。または、トラック セグメントを単にクリックしたままスライドします。スライドの動作は、プリファレンス(Preferences)ダイアログの PCB エディタ(PCB Editor) - インターラクティブ配線(Interactive Routing)ページにあるドラッグ(Dragging)の各オプションを使用して構成することができます。これらのオプションを使用すると、移動(Move)アクションをトラックに割り当てることができ、個々のトラック セグメントを自由に移動できるようにする場合に便利です。

プリファレンス レベルでドラッグ オプションを設定して、トラックのスライドの動作を制御します。

これらのオプションを使用して移動(Move)アクションを割り当てると、移動中にトラック セグメントを回転またはミラーリングすることができます。

  • スペースバーを押して、セグメントを反時計回りに回転します。時計回りに回転するには、Shift + スペースバーを押します。回転は、プリファレンス(Preferences)ダイアログの PCB エディタ(PCB Editor) - 全般(General)ページで定義した回転ステップ(Rotation Step)の値に従って行われます。
  • X または Y キーを押して、セグメントをそれぞれ X 軸または Y 軸に沿ってミラーリングします。

配線済みのトラックに関連するグラフィカル エディットの手法の詳細については、次の項目を参照してください。

ロック(Locked)プロパティが有効になっているオブジェクトを選択したり、グラフィカルに編集したりすることはできません。オブジェクトをグラフィカルに編集するには、ロックされたオブジェクトを直接ダブルクリックし、ロック(Locked)プロパティを無効にします。

非グラフィカル エディット

非グラフィカル エディットには次の方法を使用できます。

関連するプロパティ ダイアログの使用

ダイアログ ページ: トラック

この編集方法では、次のダイアログを使用してトラック オブジェクトのプロパティを変更します。

個々のトラック セグメントをトラック(Track)ダイアログで編集できます。

配置後には、次のいずれかの方法でダイアログにアクセスできます。

  • 配置されたトラック オブジェクトをダブルクリックします。
  • トラック オブジェクトにカーソルを置き、右クリックして、コンテキスト メニューからプロパティ(Properties)を選択します。

Ctrl + Q ショートカット キーを使用すると、ダイアログで現在使用されている測定単位をメートル単位(mm)とインチ単位(mil)の間ですばやく変更することができます。このことはダイアログにのみ影響し、基板で使用される実際の測定単位は変更されません。これらはメイン メニューのホーム(Home) | グリッドと単位(Grids and Units)領域にある および ボタンによって決定されます。

インスペクタ パネルを使用した編集

パネル ページ: PCB インスペクタPCBLIB インスペクタ

インスペクタ パネルを使用すると、設計者は、アクティブなドキュメント内の 1 つまたは複数のデザイン オブジェクトのプロパティを確認し、編集することができます。適切なフィルタリングと組み合わせて使用することで、同じ種類の複数のオブジェクトを 1 か所で簡単に変更できます。

 

アクティブ ドキュメント内の選択したテキストや画像に関する問題を報告します。